ESL-63復活と改造プロジェクト(3)
3.事件発生
この記事「ESL-63復活と改造プロジェクト」には「分解しました」「・・を外しました」などという記述がたくさん出てきますが、これは「私はこんな事をしました」という事を書いただけです。それが適切かどうかは分かりませんし、同じような事をなさって被害が発生しても、私としては何もできません。結果として、あなたの ESL-63 が粗大ゴミになっても責任は負いかねます。同じような事をなさるとしても、あくまでも【自己責任】でお願いします。
事件(1)
適当にデッドニングした状態で何年か聞いていましたが、ある日「事件」が起こりました。当時はまだ小さかった息子に空手を習わせていたのですが、ある日、ESLを空手の前げりの標的にしてくれたのです。う~ん、ESLは空手の練習用マットに似ていなくもない。保護板は外してあるので、幼児の蹴りでもひとたまりもありません。仕事から帰って、さて、音楽でも。ところが、スピーカーからは「ポッ、ポッ」という異音が出ています。調べてみると保護板(外してある)の内側にある「防塵フィルム」が破れ、エレメントの固定電極の接着が一部外れているようです。固定電極はかなり薄いプリント基板で、静電気力で振動膜の方に引っ張られる ---> 放電する ---> 静電気力が弱まり、元の位置に戻る ---> 振動膜の方へ引っ張られる、を繰り返しているようです。この時は修理に出しました。改造してあるにもかかわらず修理して貰え、感謝。修理費用も安くなかったのですが、段ボール箱なんかとっくに捨てているので空き箱を送ってもらい、修理品を入れて送る、修理されたものが入った箱が送られてくる、空き箱を返送。かなりの費用になってしまいました。でもまぁ、生き返ったので良しとしました。
事件(2)
20年くらい前(購入後10年くらい)に、アメリカに行く事にしました。アメリカ旅行ではなくて数年間滞在の予定でした。賃貸マンションは解約して、家財は倉庫業者にあずけることにしました。オーディオ機器は・・これもあずける事にしました。業者の荷扱いが心配だったのですが・・・
アメリカから帰って来て出庫したんですけど、防塵フィルムは破れ、固定電極の接着は何カ所も外れた状態でした。倉庫業者としては「通常の注意をはらった」のでしょう。実際、ESL以外の家財には損傷なし。でも、保護板を外したESLには不十分だったようです。前回のトラブルとは異なり破損したエレメントが多い。修理に出すと新品が買えるくらいの費用がかかりそうです。どうしよう。まともに考えれば「粗大ゴミ」にして新しいスピーカーを買うんですけど、QUADの音の良さが忘れられない。いくつかのスピーカーを聞いてみたんですけど、どうもねぇ。結局【自分で修理する】事にしました。失敗しても「粗大ゴミ候補」が「粗大ゴミ」になるだけだし。固定電極の接着が外れた箇所は何とかしてくっつける、防塵フィルムは張り替える。なんとかなるだろう。
まず、接着が外れた固定電極をくっつけなくてはなりません。本来ならば完全に分解して古い接着剤を取り除き、接着しなおすべきなんですが、そのためには振動膜を張り替える必要があると思われます。振動膜の張替えは大変そうなので、プラスチック枠と固定電極が接する部分に新しい接着剤を盛る事にしました。使ったのはシリコン系のもので、乾燥してもいくらかの弾力を保つというものです。
割り箸の先を小さなヘラ状に削たのもや、つまようじに少量の接着剤をつけて目標の場所に接着剤を盛りました。
固定電極は薄いプリント基板(多分、紙エポキシ)なので、かなり柔らかい。内側(振動膜側)にたわんでいるように見える部分は引っ張り出すようにしながら接着剤を付けました。固定電極のすぐ内側には振動膜があります。こいつに傷をつけないように気を付けながら・・・。かなりの時間を使いましたが、なんとかなったようです。ついでに、枠と固定電極に隙間がある部分にも接着剤を盛りました。
今回の復活、改造の作業中に分かったのですが、固定電極を取り付けるフレームと固定電極の間には隙間があります。接着する部分には隙間はないのですが(そうでなければ接着できない)、それ以外の部分には隙間があります。何故こんな構造にしたのかは不明ですが、そうなっています。で、その隙間には押し込む感じで接着剤を付けました。
何とかなったみたい。防塵フィルムなしの状態で鳴らしてみると、まともな音が出るようになりました。さて、防塵フィルムをどうするか。
次回は「4.防塵フィルム」