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2020年10月 7日 (水)

ESL-63復活と改造プロジェクト(1)

1.はじめに


【注意】この記事、「ESL-63復活と改造プロジェクト」シリーズには「分解しました」「・・を外しました」などという記述がたくさん出てきますが、これは「私はこんな事をしました」という事を書いただけです。そのような事を推奨しているわけではありません。それが適切かどうかは分かりませんし、同じような事をなさって問題が発生しても私には何もできません。結果として、あなたの ESL-63 が粗大ゴミになっても責任は負いかねます。同じような事をなさるとしても、あくまでも【自己責任】でお願いします。


我が家にイギリス QUAD 社の ESL-63pro というスピーカーがあります。このスピーカー、「静電型」とか「コンデンサ型」とか言われるものです。普通のスピーカーは「ダイナミック・スピーカー」という形式で、磁石で作った磁界内にコイルを置き、そのコイルに音声信号を流し、発生した力で振動版を動かすものです。振動版が駆動されるのはコイル(ボイスコイル)が接続された円周状の線だけで、振動版全体が動くためには振動版自体が振動を伝達する必要があります。静電型はこれとは異なり、固定電極と振動板(振動膜)との間に高電圧をかけ、クーロン力によって振動膜を駆動するものです。特徴は、

・振動膜が全面駆動されるので、振動膜自体が振動を伝える必要がない。なので、振動膜は非常に薄いフィルム。軽い。

・効率が悪い(スピーカーに加えたパワーに対して、出てくる音が小さい)


スピーカーというもの、振動板が振動して空気を動かし音が出るわけですが、【振動板以外は振動すべきではない】のです。スピーカーユニットのフレームとか箱とかは振動すべきではありません。振動すべきではない物は「十分重く」作るべきなのですが、現実のスピーカーでは「十分重く」する事はできません・・・ダイナミック・スピーカーの振動板質量は小さいフルレンジで数グラム、大きなウーファーだと100g以上もあります。これに対して「十分に重い」と言える重さはトンの単位になってしまいます。重さントンのスピーカーを作るわけにはいきませんよね。作っても、家の中には置けない、扱えない・・・静電型の振動膜は軽いので、動くべきではない部分との質量比は比較的大きくできます。なので「いい音」が出るはずです。というわけで、購入しました。約30年前です。
静電型は高電圧を使用します。ESL-63の場合、5250V。古くなって絶縁状態が悪くなると【放電】が始まってしまいます。放電すると電流が流れる --> 電圧が下がる --> 放電が止まる --> 電圧が上がる --> 放電する。を繰り返してしまいます。この状態になると放電の具合によって固定電極と振動膜の間の電界が変化しノイズが出ます。ピュ~、ジュルジュル・・・ザザザ~ッ。とうてい音楽を聴く状態ではなくなってしまいます。というわけで、使わない(使えない)状態になってしまいましたが、音の良さが忘れられず捨てずにいました。
最近になって、音の良さを思い出して復活させる事にしました。修理に出せば簡単なんだけど、修理費用が高いし、改造してあります。修理屋さんが「改造されたものを、改造後の、故障前の、最良の状態」にしてくれるとは思えません。修理自体を拒否される可能性もあります・・・私が修理屋だったら拒否します・・・というわけで、自分で修理と改造したいと思っていたのですが、振動膜を張り替える必要があります。でも、振動膜に使えるフィルム(非常に薄い)とか振動膜を貼り付ける接着剤などなどが、どこで入手できるのか。・・・プラスチックの接着は難しいんです。振動膜も、それを接着すべき枠もプラスチックです。接着剤の説明書を読むと、XX(プラスチックの種類)には接着できない)などと書かれています。振動膜を接着するフレームの材質種類が分からない。振動膜の材質は?まともに接着できるまでの手間(接着剤選び)を考えると・・・うわぁ~、こりゃ大変だ。この理由で長い間「まだ捨てられていない粗大ゴミ」状態で部屋の片隅で眠っていたのです。
最近になって・・・と言っても2年くらい前・・・「ESL63リペアキット」なるものが売られているのが分かりました。調べてみると0.1ミリ単位の工作などといった「技」が必用そうな工程はなさそうです。こんないきさつで「ESL-63復活と改造プロジェクト」がスタートしました。


次回は「購入~初期の改造」

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