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2018年1月16日 (火)

燃費の話3 エネルギー

「エネルギー」という言葉にもいろんな意味があって、中東の石油情勢を思い浮かべる方もおられるだろうし、太陽光が・・・といった方もいらっしゃるでしょうね。でも、ここでは物理で言う「運動エネルギー」と「位置のエネルギー」の話です。

運動エネルギー
ある速度で移動する物体は運動エネルギーを持っています。エネルギーの量は、中学だか高校だかでやりましたね。「(1/2)X質量X(速度の二乗)」。走っている車は、これだけの「運動エネルギー」を持っているわけです。
車にこのエネルギーを与えるのが燃料(ガソリン)で、燃料を燃やして発生する熱を力学的な力に変換する装置(エンジン)を用いて車輪を駆動し、車にエネルギーを与えるわけです。結果、車は発進~加速します。


車を止めるには、車からこのエネルギーを奪い取らなくてはなりません。そのための装置がブレーキで、摩擦によって熱を発生させ、それを大気中に捨てる事で車を減速~停止させるわけです。

車を加速させるにはエネルギーが必要で、止めるにはエネルギーを捨てる必要があるという事です。

位置のエネルギー
高い位置にある物は、高低差によって「位置のエネルギー」を持ちます。高い位置にある物が落下すると(運動エネルギーに変わるわけですが)低い位置に到達した時に相応のエネルギーを持っています。水力発電所を想像してもらえばいいかな。高い位置にある水を(パイプの中を)落下させて水車をまわして発電機を動かす。エネルギーの量は「質量X重力加速度X落差」です。

これを燃費という観点で見ると、「登坂にはエネルギーが必要」という事になります。

車を動かすために必要なエネルギー
車を発進させ加速するには、かなりアクセルを踏み込む必要があります。一方、平坦路を一定速度で走ってる時のアクセルの踏み込み量は
ほんの僅かです。平坦路を一定速度で走る場合、エネルギー保存則(あるいは慣性の法則)によって、車は一定速度で前進し続けようとします。
でも、ニュートラルに入れるとかクラッチを踏むとかしても、少しづつ減速してしまいます。これは走行抵抗があるためで、具体的には
車軸その他の軸受けの抵抗、タイヤの転がり抵抗、空気抵抗などがあるためです。一定速度で走るならば、これらの抵抗による損失を補うだけの
エネルギーを与えれば良いことになります。平坦路を時速50キロ(一定速度)で走る場合は、多分、5馬力もあれば十分だと思います。

一方、発進~加速には大きなエネルギーが必要です。加速のし方にもよりますが、数十馬力使う事もあると思います。

燃費を向上させるには、「使うエネルギー、捨てるエネルギーを最少にする」のが重要です。
エネルギーを捨てないためには、減速しなければいいんですが、減速しなかったらクラッシュするかもしれないし、車を止めないと降りる事もできません。降りる事ができないならば、移動のための道具にはなりませんよね。という事は、「どのように減速するか」が問題になります。

という事で、次回は「どのように加速し、減速するか」にしますね。

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