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2020年10月27日 (火)

ESL-63復活と改造プロジェクト(4)

4.防塵フィルム

この記事「ESL-63復活と改造プロジェクト」には「分解しました」「・・を外しました」などという記述がたくさん出てきますが、これは「私はこんな事をしました」という事を書いただけです。それが適切かどうかは分かりませんし、同じような事をなさって被害が発生しても、私としては何もできません。結果として、あなたの ESL-63 が粗大ゴミになっても責任は負いかねます。同じような事をなさるとしても、あくまでも【自己責任】でお願いします。


ESLは高電圧を使うので「高圧集塵機」みたいなものです。そのためか「防塵フィルム」が貼ってあるんです。これを貼るのですが、どんなフィルムをどのようのに貼ればいいのか??フレームの縁の部分に両面テープで貼るのは確かなんですけど、張力は? 適当な両面テープは?

最初に試したのはサランラップ。入手簡単。お手軽。サランラップは幅が狭く、必用な面積を覆うには不足で、いくつか並べて貼らなくてはなりません。最初は継ぎ目から埃が入るのを嫌ってガムテープで目張りしたのですが、音は最悪。高音がきつく、低音が出ない。中音もやたら荒っぽい。全部はがしてやりなおし。今度はガムテープなし。フィルムの継ぎ目はどうする??ラップ同士がくっつくだろうし、まっ、いいか。
聞いてみると、音は出るし異常音は出ないんですが、音が良くない。ラップの材質が問題なのか貼り方が問題なのか。継ぎ目があるのが問題なのか。こうなったら納得するまで何回でも張り替えてやるぜ。。。。ふぅ~。。。。
63Proに限らずコンデンサスピーカーは壁に近づけてはダメ・・という事は、振動膜の前後には何も無いのが良い・・防塵フィルムの与える影響の大きさに驚きました。サランラップの厚さは、約20ミクロンですが、本来のフィルムはずっと薄いようです。フィルムの材質以前に厚み(質量?)が問題なのかな。継目の部分は40ミクロン厚だし。何とか継目なしで、でもそんなに大きなフィルムがあるか?ネット検索すると「ESL63防塵フィルム用」のフィルムがあったのですが、50ドルくらい。高い。貼り方が分かるまでは安いフィルムを使いたいけど、そんな物あるのか・・・

ありました。45Lゴミ袋を切り裂くと、十分な大きさがあります。厚みは15~20ミクロン程度。元気が出たら、やってみるぞ。元気が出るまでに何週間か経ちました。
さてさて、ゴミ袋防塵フィルム。近場のホムセンターへ買いに行きました。薄い方がいい。とうい事で、ゴミ袋のパッケージを手に取って厚さを確認~棚に戻す、を繰り返す【挙動不審な客】をやってしまいました。買ったのは15ミクロンのポリエチレンのゴミ袋。これを何通りかの貼り方で試してみました。使った両面テープもホームセンターで買った「強力」というもの。できるだけ引っ張りながらてビンビンに貼るのが良いのが分かりました。でも治具もない状態での手作業では、どうしてもたるみが残ります。この時期にネットから入手した情報に「フィルムのたるみを取るためにヒートガンで加熱する」というのがありました。写真付きの記事で「フィルムのたるみを取るために加熱しているところ」とかの説明がありました。その記事自体があるのは知っていたのですが、リンクのタイトルは「ESL63の製造工程」かなんかで、工場の写真を見てもねぇ。で、見ずにいたのですが見てみると参考になりました。見でみるもんだね。やってみるとフィルムが収縮して、たるみがなくなります。うん、良さそうだね。まともな音が出ました。結局、ゴミ袋仕様でOKとしました。

でも「強力」両面テープではフィルムに十分には接着しない・・・暫くすると、たるみが出てしまいました。「超強力」両面テープでやり直し。オリジナル状態ではフィルムの縁からフレームにかけてガムテープが張ってあります。この問題の対策かな。

「超強力」テープでもたるみが出てしまいました。でも、まともな音なので放置。


次回は「デッドニング」のつもりだったけど、今の状況をいくらか書くかもしれない。

2020年10月22日 (木)

ESL-63復活と改造プロジェクト(3)

3.事件発生

この記事「ESL-63復活と改造プロジェクト」には「分解しました」「・・を外しました」などという記述がたくさん出てきますが、これは「私はこんな事をしました」という事を書いただけです。それが適切かどうかは分かりませんし、同じような事をなさって被害が発生しても、私としては何もできません。結果として、あなたの ESL-63 が粗大ゴミになっても責任は負いかねます。同じような事をなさるとしても、あくまでも【自己責任】でお願いします。

事件(1)

適当にデッドニングした状態で何年か聞いていましたが、ある日「事件」が起こりました。当時はまだ小さかった息子に空手を習わせていたのですが、ある日、ESLを空手の前げりの標的にしてくれたのです。う~ん、ESLは空手の練習用マットに似ていなくもない。保護板は外してあるので、幼児の蹴りでもひとたまりもありません。仕事から帰って、さて、音楽でも。ところが、スピーカーからは「ポッ、ポッ」という異音が出ています。調べてみると保護板(外してある)の内側にある「防塵フィルム」が破れ、エレメントの固定電極の接着が一部外れているようです。固定電極はかなり薄いプリント基板で、静電気力で振動膜の方に引っ張られる ---> 放電する ---> 静電気力が弱まり、元の位置に戻る ---> 振動膜の方へ引っ張られる、を繰り返しているようです。この時は修理に出しました。改造してあるにもかかわらず修理して貰え、感謝。修理費用も安くなかったのですが、段ボール箱なんかとっくに捨てているので空き箱を送ってもらい、修理品を入れて送る、修理されたものが入った箱が送られてくる、空き箱を返送。かなりの費用になってしまいました。でもまぁ、生き返ったので良しとしました。

事件(2)
20年くらい前(購入後10年くらい)に、アメリカに行く事にしました。アメリカ旅行ではなくて数年間滞在の予定でした。賃貸マンションは解約して、家財は倉庫業者にあずけることにしました。オーディオ機器は・・これもあずける事にしました。業者の荷扱いが心配だったのですが・・・

アメリカから帰って来て出庫したんですけど、防塵フィルムは破れ、固定電極の接着は何カ所も外れた状態でした。倉庫業者としては「通常の注意をはらった」のでしょう。実際、ESL以外の家財には損傷なし。でも、保護板を外したESLには不十分だったようです。前回のトラブルとは異なり破損したエレメントが多い。修理に出すと新品が買えるくらいの費用がかかりそうです。どうしよう。まともに考えれば「粗大ゴミ」にして新しいスピーカーを買うんですけど、QUADの音の良さが忘れられない。いくつかのスピーカーを聞いてみたんですけど、どうもねぇ。結局【自分で修理する】事にしました。失敗しても「粗大ゴミ候補」が「粗大ゴミ」になるだけだし。固定電極の接着が外れた箇所は何とかしてくっつける、防塵フィルムは張り替える。なんとかなるだろう。
まず、接着が外れた固定電極をくっつけなくてはなりません。本来ならば完全に分解して古い接着剤を取り除き、接着しなおすべきなんですが、そのためには振動膜を張り替える必要があると思われます。振動膜の張替えは大変そうなので、プラスチック枠と固定電極が接する部分に新しい接着剤を盛る事にしました。使ったのはシリコン系のもので、乾燥してもいくらかの弾力を保つというものです。

割り箸の先を小さなヘラ状に削たのもや、つまようじに少量の接着剤をつけて目標の場所に接着剤を盛りました。

固定電極は薄いプリント基板(多分、紙エポキシ)なので、かなり柔らかい。内側(振動膜側)にたわんでいるように見える部分は引っ張り出すようにしながら接着剤を付けました。固定電極のすぐ内側には振動膜があります。こいつに傷をつけないように気を付けながら・・・。かなりの時間を使いましたが、なんとかなったようです。ついでに、枠と固定電極に隙間がある部分にも接着剤を盛りました。

今回の復活、改造の作業中に分かったのですが、固定電極を取り付けるフレームと固定電極の間には隙間があります。接着する部分には隙間はないのですが(そうでなければ接着できない)、それ以外の部分には隙間があります。何故こんな構造にしたのかは不明ですが、そうなっています。で、その隙間には押し込む感じで接着剤を付けました。

何とかなったみたい。防塵フィルムなしの状態で鳴らしてみると、まともな音が出るようになりました。さて、防塵フィルムをどうするか。

次回は「4.防塵フィルム」

2020年10月10日 (土)

ESL-63復活と改造プロジェクト(2)

2.購入~初期の改造2.購入~初期の改造
【注意】この記事、「ESL-63復活と改造プロジェクト」シリーズには「分解しました」「・・を外しました」などという記述がたくさん出てきますが、これは「私はこんな事をしました」という事を書いただけです。そのような事を推奨しているわけではありません。それが適切かどうかは分かりませんし、同じような事をなさって問題が発生しても私には何もできません。結果として、あなたの ESL-63 が粗大ゴミになっても責任は負いかねます。同じような事をなさるとしても、あくまでも【自己責任】でお願いします。

購入したのは30年くらい前。購入して暫くは、そのままの(購入した時の状態)で楽しんでました。それまでのスピーカーよりは圧倒的にいい音だったので。でも、そのうち「中音にクセがある」ように思えてきました。独特の固有音があるというか、特定の音程が強く響くというか。そこで、中を覗いてみました。天板にある2本のネジを外すと天板を外す事ができます。ネットはマジックテープの堅い側みたいな突起に引っ掛けてあり、簡単に外す(というか、めくる)事ができました。前後面にパンチングメタルの保護板がありました。この保護板、金属板に沢山の穴を空けたもので、本体には両面テープで取り付けてありました。この保護版をたたくと「カ~ン」という音がします。う~む、中音の癖はこの保護版の共鳴であったか。デッドニングできればいいのですが、なんせ穴がいっぱい。これをデッドニングするのは大変だ。えい、外してしまえ。無償修理期間が終わるのを待って外しました。外すのはけっこう大変。かなり強力な両面テープなので、多少の力では外せません。保護版は曲がろうとどうなろうとかまわん。本体を壊さないように気を付けて・・・かなり力がいりましたが、外す事ができました。


【注】この保護版、構造材を兼ねているのが(後になって)分かりました。これを外してしまうと、全体の強度が保てないようです。結果として発音ユニット(「エレメント」と言うらしい)に無理な力が加わる可能性があります。スピーカーを移動するには細心の注意が必用と思われます。


さっそく聞いてみると、中音のクセが殆どない。やっぱりこいつが問題であったか。保護版を外すと、前後に2本づつ、上下をつなぐ柱が見えます。一見してアルミ製。これを叩くと「キ~ン」。本体をバラバラにしないと簡単には外せそうにないので、これはデッドニングする事にしました。当時 Fostex(だったと思う)が売っていたブチルゴム付き鉛テープを買ってきて貼り付けました。ついでに、そこらじゅうに貼り付けました。うん、この方が音がいい。この状態で楽しんでいたのですが・・・

次回は「事件発生~修理」

2020年10月 7日 (水)

ESL-63復活と改造プロジェクト(1)

1.はじめに


【注意】この記事、「ESL-63復活と改造プロジェクト」シリーズには「分解しました」「・・を外しました」などという記述がたくさん出てきますが、これは「私はこんな事をしました」という事を書いただけです。そのような事を推奨しているわけではありません。それが適切かどうかは分かりませんし、同じような事をなさって問題が発生しても私には何もできません。結果として、あなたの ESL-63 が粗大ゴミになっても責任は負いかねます。同じような事をなさるとしても、あくまでも【自己責任】でお願いします。


我が家にイギリス QUAD 社の ESL-63pro というスピーカーがあります。このスピーカー、「静電型」とか「コンデンサ型」とか言われるものです。普通のスピーカーは「ダイナミック・スピーカー」という形式で、磁石で作った磁界内にコイルを置き、そのコイルに音声信号を流し、発生した力で振動版を動かすものです。振動版が駆動されるのはコイル(ボイスコイル)が接続された円周状の線だけで、振動版全体が動くためには振動版自体が振動を伝達する必要があります。静電型はこれとは異なり、固定電極と振動板(振動膜)との間に高電圧をかけ、クーロン力によって振動膜を駆動するものです。特徴は、

・振動膜が全面駆動されるので、振動膜自体が振動を伝える必要がない。なので、振動膜は非常に薄いフィルム。軽い。

・効率が悪い(スピーカーに加えたパワーに対して、出てくる音が小さい)


スピーカーというもの、振動板が振動して空気を動かし音が出るわけですが、【振動板以外は振動すべきではない】のです。スピーカーユニットのフレームとか箱とかは振動すべきではありません。振動すべきではない物は「十分重く」作るべきなのですが、現実のスピーカーでは「十分重く」する事はできません・・・ダイナミック・スピーカーの振動板質量は小さいフルレンジで数グラム、大きなウーファーだと100g以上もあります。これに対して「十分に重い」と言える重さはトンの単位になってしまいます。重さントンのスピーカーを作るわけにはいきませんよね。作っても、家の中には置けない、扱えない・・・静電型の振動膜は軽いので、動くべきではない部分との質量比は比較的大きくできます。なので「いい音」が出るはずです。というわけで、購入しました。約30年前です。
静電型は高電圧を使用します。ESL-63の場合、5250V。古くなって絶縁状態が悪くなると【放電】が始まってしまいます。放電すると電流が流れる --> 電圧が下がる --> 放電が止まる --> 電圧が上がる --> 放電する。を繰り返してしまいます。この状態になると放電の具合によって固定電極と振動膜の間の電界が変化しノイズが出ます。ピュ~、ジュルジュル・・・ザザザ~ッ。とうてい音楽を聴く状態ではなくなってしまいます。というわけで、使わない(使えない)状態になってしまいましたが、音の良さが忘れられず捨てずにいました。
最近になって、音の良さを思い出して復活させる事にしました。修理に出せば簡単なんだけど、修理費用が高いし、改造してあります。修理屋さんが「改造されたものを、改造後の、故障前の、最良の状態」にしてくれるとは思えません。修理自体を拒否される可能性もあります・・・私が修理屋だったら拒否します・・・というわけで、自分で修理と改造したいと思っていたのですが、振動膜を張り替える必要があります。でも、振動膜に使えるフィルム(非常に薄い)とか振動膜を貼り付ける接着剤などなどが、どこで入手できるのか。・・・プラスチックの接着は難しいんです。振動膜も、それを接着すべき枠もプラスチックです。接着剤の説明書を読むと、XX(プラスチックの種類)には接着できない)などと書かれています。振動膜を接着するフレームの材質種類が分からない。振動膜の材質は?まともに接着できるまでの手間(接着剤選び)を考えると・・・うわぁ~、こりゃ大変だ。この理由で長い間「まだ捨てられていない粗大ゴミ」状態で部屋の片隅で眠っていたのです。
最近になって・・・と言っても2年くらい前・・・「ESL63リペアキット」なるものが売られているのが分かりました。調べてみると0.1ミリ単位の工作などといった「技」が必用そうな工程はなさそうです。こんないきさつで「ESL-63復活と改造プロジェクト」がスタートしました。


次回は「購入~初期の改造」