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2020年11月17日 (火)

ESL-63復活と改造プロジェクト(7)

7.バスカットと保護回路7.バスカットと保護回路


この記事「ESL-63復活と改造プロジェクト」には「分解しました」「・・を外しました」などという記述がたくさん出てきますが、これは「私はこんな事をしました」という事を書いただけです。それが適切かどうかは分かりませんし、同じような事をなさって被害が発生しても、私としては何もできません。結果として、あなたの ESL-63 が粗大ゴミになっても責任は負いかねます。同じような事をなさるとしても、あくまでも【自己責任】でお願いします。

まずは「ESL-63復活と改造プロジェクト」の近況


ひどい状態の固定電極のクリーニングが終わりました。2ヵ月以上かかったけど、何とかなりました。これでエレメント2つ分ね。エレメントは全部で8個なんで、先は長いぞ。ふぅ~。今日の午後、3つ目のエレメントをバラシてクリーニングを始めました。まだ古い接着剤などを削ぎ落す段階なので、固定電極の状態はあまり見ていませんが、「ひどい」状態ではないみたいです。


さて、昔の改造の話続き
その頃ネット上で入手した回路図によると、(アンプからの)入力端子直後、昇圧トランスとの間に1.5Ωと220μFを並列にしたものが入っています。図面上では、ある周波数以下を減衰させる、いわゆるバスカットに見えます。並列に入っている220μFは両極性ケミコン(電界コンデンサ)。ケミコンは音が良くないし、両極性はもっと良くない。ケミコンには極性があって、逆方向の電圧をかけてはいけないんですけど、両極性ケミコンは「極性がない」「どちら向きの電圧をかけてもかまわない」ケミコンです。「極性がないケミコン」は不可能なので、実際には2つのケミコンの「-」端子同士を接続したような形になっています。普通のケミコンに逆電圧をかけるのは「禁止」なんですが・・・逆電圧をかけられたケミコンは、どても性能が悪いダイオードに順電圧をかけたような動きをします。これは音を悪くしているに違いない。低音が過大なわけでもないので、バスカットは必要ない。もし必用だったら、プリアンプとパワーアンプの間にケミコンなんか使わないバスカットを入れればいい。というわけで、このケミコンは外す事にしました。外すのは簡単。ニッパーで「プチッ!」とやるだけ。


どれほどの差があるかと、さっそく聴いてみたのですが、高音が出ない・・・なんで?
数日考えて気が付いたのは、ESLは「コンデンサスピーカー」だという事です(あたりまえか)。つまり、スピーカー自体が容量性なんです。という事は、抵抗(1.5Ω)とスピーカー自体がLPF(低域通過フィルター、高音カット)になっているようです。そこで、この抵抗を外す。抵抗の端子間をジャンパ線でショートしました。これで高音もきちんと出るようになりました。
それにしても・・・何でこんな回路(1.5Ωと220μFの並列)なんかが入っているんだろう???


ESL63には過大入力からスピーカーを保護する「保護回路」が付いていますが、これが、何と過大入力が入った時、入力端子間をトライアックで短絡するという物でした。過大入力が入った状態で入力端子間を短絡させると

・パワーアンプが可哀そう。普通、パワーアンプ側に保護回路が入っているので問題はなさそうですが

・短絡させるためのトライアックに大電流が流れる。

トライアックが壊れると保護にならない。から、抵抗を入れた。ら、高音がなくなった。ので、コンデンサも入れた。のではないか、という気がします。絶対に過大入力を入れないならば保護回路は不要。という事で、これも取り外しました。これも外すのは簡単。ニッパーで「プチッ!」とするだけ。
聴いてみて驚きました。過大入力ではない範囲の音がずいぶんクリアになった感じです。なんで?
その当時、回路図を見ても分からなかったのですが・・・今回のプロジェクトで分解したら判りました。過大入力検出部分の「アンテナみたいな記号」は、本当にアンテナだったのです。ESL63には、振動膜を球面状に振動させるための遅延回路が音声信号を昇圧した後にるんですが、このアンテナ、遅延回路付近の電磁波を拾っていました。過大入力が入ると電界(電磁界)の変動が大きくなるので、それを拾おうとしてるようです。が、アンテナからの信号はトランジスタで増幅され、それがタイマーIC(NE555)をキックしているんです。この回路では、保護回路を働かせる「しきい値」が明確ではない上に、タイマーICやトライアックのゲート電圧が不安定になってしまいます。555 への入力は「確実に Off か確実に On」であるべきで、中途半端な値であってはいけないでしょう。トライアックへの入力も同様。という事で、保護回路が半端な動きをしていたのではないか・・・と思っています。

どうであっても、音が良くなったので、まっ、いいか。

コメント

おめでとうございます。懸案が解決したようですね。

そういえば、半導体のマスクライタは50kv電源を使っていたけど、英国製でしたねえ。得意なのかな?
真空管回路のトランスレス電源の要領で、電圧をコンデンサで積み上げていく回路でした。

コロナ弱者様、コメントありがとうございます。

ところで「マスクライタ」って何ですか????ググってみたけど、よく分からない。高電圧を使いそうなものは???
ちなみに、ESL63の「高電圧」は5.25kV。高電圧電源は「電圧をコンデンサで積み上げていく回路」(コッククロフト・ウォルトン回路)です。

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