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2020年12月17日 (木)

ESL-63復活と改造プロジェクト(9)

9.ESL専用アンプ・・・トランスっていいものだ


1台目の4つ目のエレメント(1台目の最後のエレメント)のクリーニングにかかりました。年末年始の予定はほぼ全部キャンセルなので、集中して作業・・・なんですが、右手が十分には回復していないみたなので、今年中は無理かな。


クリーニングしながら、構造をどうするかなどと考えていたら、「音声信号用昇圧トランスをなしにできないか」という思いにとらわれました。考えていたら・・・原理的には可能。電池を直列に接続すれば高電圧が得られるように、アンプの出力を直列に接続すれば良い。いいねぇ。


【注:普通のアンプの出力を直列接続してはいけません。出力をショートする事になります。アンプが壊れる可能性は低いけれども、動作しません】


アンプの出力を直列に接続というのは、そのような回路構成のアンプを製作するという意味です。ESL63 のバイアス電圧は 5.25kV。アンプの出力は10.5kV p-p。現実的な(製作可能な)アンプの出力電圧は 500V p-p 程度。ならば、これを 20 個直列にすれば 10kV p-p なんですが・・・問題は GND レベルがアンプ毎に異なるので電源に絶縁トランスが必用だし、入力側にはアイソレーションアンプが必用。アイソレーションアンプは安くはないし、耐電圧はせいぜい 5kV 程度。絶対最大定格ギリギリで使うわけにはいかないし、ならば作るか。と考えたんですけど、現実的ではない。入力側に A/D コンバータを置いてデジタル信号を直列化し、それを光ファイバで 20 個のアンプへ送る。受取った側は D/A 変換して・・・でも全部の D/A が同時に動作する必用があるので同期をとる必用があるし、D/A 自体の変換速度は・・・などと考えると収集がつかない。アンプ 20 個直列なんですけど、ESL63 を駆動するにはプラス側のアンプとマイナス側のアンプが必用なので片チャンネルあたり 40 個。ステレオなんで全部で 80 個。部品代だけで 1 個あたり10万円ですむかしら。その 80 倍は・・・うへぇ~・・・バカ高いスピーカーはあるけど、昇圧トランスなし、専用アンプ内蔵コンデンサスピーカーは見た事ない。ないわけだ。その上、故障率は 80 倍。やってられないね。そもそも、ややこしい回路のアンプを作ったとして、そのアンプ、トランスと比べて、どれほど音がいいの?

という訳で、これは断念。


それにしても、トランスを置き換えるのにン百万円かかるとは思わなかった。トランスって、いいものなんですね・・・。


でも、これを考えるのは結構面白かった。

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